なぜソフトバンクはSurface3(4G/LTE)を独占販売出来たのか(追記あり)
こんな記事があった。
まずIS12T以降日本でWindowsPhoneは一度も発売されてはいない。
WindowsPhone搭載機としてはまさに旗艦であったNOKIAブランドLumiaはMicrosoftに買収されるまでの間、結局一度も日本では公式に発売することはなかった。
しかし日本以外で流通しているにも関わらず、大手ネットショップExpansysなどで入手可能なグローバルモデルのLumiaは、なぜかセットアップ時に日本語の選択が出来、普通に日本語の表示と入力が出来るのだ。
これをもってして「日本で発売されるのはいつか?」との声は過去幾度となく挙がっていた。
さて、冒頭の記事で不思議な事と言えば記事中でキャリアに関して一切触れていない事だろう。
今回いわゆる「社用携帯」となったモデルはLumia 830だ。
- WCDMA network: Band 1 (2100 MHz), Band 2 (1900 MHz), Band 5 (850 MHz), Band 8 (900 MHz)
- LTE FDD network: Band 1 (2100 MHz), Band 20 (800MHz), Band 3 (1800 MHz), Band 7 (2600 MHz), Band 8 (900MHz)
このスペックを見ると容易に想像がつく向きもあるだろうが、今回端末導入の「足回り(キャリア)」はソフトバンクなのだ。
これは驚くに値しない事で、つい先日Surface3(4G/LTE)がソフトバンクから独占的販売が報じられた事は皆さんご存知の事と思う。
そしてここでも触れられていない事だが、Surface3(4G/LTE)を日本展開するにあたり、当初パートナーとして打診して来たのはマイクロソフトからだったという。
もっと言えばSurface3 ProではなくSurface3を指定してきたのもマイクロソフトだ。
Surface3の報道から知った者には、なかなかここまでの経緯に関しピンと来ないであろうが、法人市場の事情に詳しい者なら、同社Office365の法人販売実績でソフトバンク・グループが国内トップである事を知っている筈だ。
ここから確固たる実績を示したソフトバンクと、それを評価したマイクロソフトの関係が緊密になるのに時間はかからなかった。これは極めて王道のパートナーシップと言えるだろう。
また副次的な要因として、もともとのSurface3スペックもある。
[4G LTE] バンド 1 (2.1 GHz) / 3 (1.7 GHz) / 8 (900 MHz) 対応
[3G] バンド 1 (2.1 GHz) / 8 (900 MHz) 対応
バンド1,バンド3,バンド8のトライバンド対応で、TELEC申請もこの3バンドだが、ポイントは「バンド3」とされる1.7GHz帯(1800MHz帯)と「バンド8」900MHz帯だ。
この2つは前者がイーモバイルが割り当てされた周波数帯、後者が「プラチナバンド」としてソフトバンクが割り当てされている。
実はこの2つの周波数帯は世界的にも「グローバルバンド」と呼ばれ世界で最も多く使用されている周波数帯なのだ。
Surfaceのグローバルモデルは世界戦略端末である事からも、この仕様はごく自然で妥当なものだ。
先のLumiaの場合もソフトバンクにあわせカスタマイズしたのではなく、もともとグローバルバンド対応で設計していた端末が偶然ソフトバンクの周波数帯とマッチしたのだ。
以前から1.7GHz帯と900MHz帯を有するソフトバンクは「海外端末を扱う場合に有利」とは言われて来た事ではある。
それが今回の場面では際立って有効に作用したと言える。
さて、このSurface(4G/LTE)はワイモバイル/ソフトバンクの公式発表では「独占的販売」との言い回しの通りMicrosoftのオンライン販売や一部量販店でもSIMフリーモデルとして入手は可能である。
しかし対応周波数帯を見る限り3GがWCDMA方式ではないKDDI( LTEのみ2.1GHz対応)は論外としても、ドコモ系データSIMを挿してもソフトバンク基地局数の半分以下である2.1GHzと東名阪限定の1.7GHz帯だけの運用はかなり見劣りする。
ドコモもKDDIも結局基地局数で言えば800MHz帯が一番の強みなのだ。
だから完全な「嫌ソフトバンク派」でもない限りワイモバイル/ソフトバンクの回線がベストマッチであるといえよう。
尚、Surface3に関してコンシュマー用販売はワイモバイル、法人用販売(レンタル含)はソフトバンクとブランドは分けて展開される。
このように「マイクロソフトの商材販売で実績を上げ、それをフックに強固なビジネス・パートナーとなる」戦略はソフトバンクの明快な方向性を示している。
ここでも取材も含めて周波数とハードに関して言及しているが、Office365からの経緯は追えていない。
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