なぜソフトバンクはGoogle端末(Nexus)を独占販売出来たのか。
私はNexus6のレビューをした際に「これならiPhoneと肩を並べる事が出来る」と感じた。非常に出来の良い端末だと思う。
この端末は並行輸入品やネット販売を除けばGooglePlayかワイモバイルでしか入手できない。
今回の記事ではこれに関しエリック・ガン氏は「実績を買われて」答えているが、独占販売の論拠にしては弱すぎと言わざるを得ない。
SIMフリー端末は単純に幅広く売りたいものであるし、プラットフォーム戦略の一環としてNexusを販売しているGoogleからしてそれはごく当然なことである。
果たしてドコモやKDDIはNexus6の取扱いの打診をしなかったのであろうか。
振り返ると昨年のNexus5もイーモバイルの独占販売であったが、これで2年続けてソフトバンク系キャリアでNexusは独占販売である。
2014年にNexus6、2013年にはNexus5。では2012年はと言えばNexus4ではなく実はMotorola RAZR M 201Mがソフトバンクから発売されている。
モトローラ・モビリティ カントリー・マーケティング バイス・ブレジデントのジャン=ピエール・ル・カネリエ氏と、モトローラ・モビリティ・ジャパン 代表取締役社長である鈴木寛氏との「開発者インタビュー」上でも「今回「RAZR M」がソフトバンクからリリースされたので非常に驚いています。なぜソフトバンクから端末を提供することになったんでしょうか。」との問いがなされている。
正直誰にとってもソフトバンクがモトローラ端末を扱う事は唐突な印象だったのである。
ITmediaのインタビューでも目指したのは“Best of Google”なデバイス
と、2012年5月22日にGoogleがモトローラ・モビリティを買収した事でGoogleブランドを前面に押し出す言動が確認できる。
余談だが、ここからモトローラ・モビリティは特許の殆どをGoogleに残したまま2014年10月30日にはレノボ・グループに売却され、そこでNexus6を発売することになる。
だが、これらの記事からは本題である「なぜソフトバンクがGoogle系スマホを独占販売出来たのか」の答えを見つける事が出来ない。
しかしこれにはれっきとした伏線があったのだ。
Motorola RAZR M 201Mを扱う1年前、2011年7月20日の「Google Enterprise Day」に登壇したソフトバンク宮内副社長(当時)はGoogle Appsを採用。全社に導入した事を発表した。
ここから法人市場で「Google Apps for Business」を商材として大々的に扱い、2012年度には年間約40万IDを獲得し「世界ナンバーワン」の販売実績を挙げるに至った。
IDの販売数でパートナーとしてのプライオリティを決めるGoogleは必然的にソフトバンクと緊密さを深める。
私もMotorola RAZR M 201M発表時にソフトバンク側の担当者から「Google Apps for Businessの販売実績からのパートナーシップの賜物です」と聞かされていた。
そしてそこから常に「Googleの旗艦スマホ」を独占販売し続け、今年2月には「Nexus Player」をやはりGooglePlay以外では国内独占販売を発表している。
今回の経緯は前回記した(時系列的にはこちらが先)Surface独占販売のマイクロソフトとの関係構築と非常によく似ている。
おそらくはソフトバンクではこの「販売実績」からより強固で広範囲なパートナーシップを結ぶ手法を経営戦略としているのだろう。
気付けばGoogleとマイクロソフトと強固な関係に到達しているソフトバンク。
このようにみると同社の王道的な「情報端末戦略」が見える気がするのだが。
小さな会社の Google Apps 導入・設定ガイド (Small Business Support)
- 作者: 株式会社サテライトオフィス
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2013/01/16
- メディア: 大型本
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る