The Marmot Underground & Eco

日常のさまざまな事柄について綴ります。

【モバイルよもやま話】“格安SIM(MVNO)”は「細切れ回線サービス」である事を認識すべし

www.chotbetter.com

なかなか興味深い記事と思います。

面白いですし、コメントが結構寄せられており関心の高さが窺えます。

 

MVNO(格安SIM)で良くないなあと思うのは、ベストエフォート表記でしょう。

下り最大225Mbps、上り最大50Mbpsなんて書いてあるヤツですね。

これは基地局に対し端末1台だけ接続し他の阻害要因も排除した数値で、現実的に出る数値ではありません。いわゆる理論値ってヤツです。

MVNO(格安SIM)はそもそもMNO(ドコモ、KDDIソフトバンク)から回線を借りていますからまずそこからの話です。

また、最近のMVNO(格安SIM)はほぼレイヤ2接続です。

itpro.nikkeibp.co.jp

要はMVNO側で回線のやりくりが出来るんですね。

レイヤ3接続ではそれが出来ない。

ともあれ各社、提供料金内で出来ることは最大限にやっているのが現状です。

 

あまり難しく説明するのはこのブログのポリシーではありませんので、簡単に書きますが、MVNO(格安SIM)は「細切れ回線サービス」という事を理解して使う必要があるという事。

既存キャリアから細切れ回線を借りて運用しているサービスなのです。

所詮回線品質ではMNO(キャリア)の足下にも及びません。

「ドコモの回線を使用!」と明記されているブランドもありますが、それは「ドコモの回線品質と同等」の意味ではありません。これも困った事です。

あくまでその謳い文句はカバレッジだけの話と考えて下さい。

現在、どのキャリアがどんな料金で回線を卸しているかは総務省のサイトで公開されています

f:id:themarmotunderground:20151108093438j:plain

ポイントは料金体系はキャリア側にほぼ一任されている事で、ドコモは総務省のMVNO施策の旗振り役に事実上指名されていますので、比較的低廉な料金です。

その代わりに総務省はMVNOの回線契約者数をMNOの数値に計上させて良いことにしました。ニンジンをぶら下げたのですね。

ソフトバンクはやる気がないのでしょうね(笑)3キャリア中もっとも高額です。

 

さて、「細切れ回線」ですから元々狭い利用帯域です。

だから加入者数が増えるほど輻輳しやすくなる。レイヤ2接続でやりくりしても限界がやがて訪れる。

IIJmioやb-mobie(日本通信)などもう輻輳してますよね。だからMVNOプランを追加して冗長化しようとしている。(日本通信は高額なソフトバンクの回線を導入するようです)

また利用エリアや時間帯によって大幅に実効速度が変化する

具体的には早朝6時と13時では全然違うわけです。

使っている人が増える時間帯とそうでない時間帯とでは。回線に余裕がないですから。

一方、MNOは全波を使えますし、速度差が極力出ないようにネットワークを増強しているのです。

UQmobieの速度計測が比較的良好なのは、KDDI回線を使い3GがCDMA方式で対応端末が限定的で、が故にユーザーが少なく常に回線に余裕があるためです。

(事実上、iPhone5s以降のKDDIモデルかSIMフリーモデル、対応KDDI端末しか使えません)

MVNO(格安SIM)は皮肉な事に前述の通り、人気があるブランドから先に輻輳し速度が遅くなります。

ここで「設備投資する」などとMVNOはコメントするのですが、根本的な解決策は具体的にはMVNOプランの追加しかありません。

つまりコスト負担増となり利用料金に響きます。

例えばDMMmobile楽天モバイルは元々MVNO(格安SIM)だけで利益を上げるつもりはなく、自社内他サービスの囲い込みの「ツール」として参入しています。

また、ISP系のMVNO(格安SIM)もプロモーションの「ツール」としての参入要素が大きい。MVNO(格安SIM)のみで利益をあげるのはなかなか難しい現実があります。

結局、プロモーションの「ツール」としての意味合いが強いので、MVNO(格安SIM)はやたらとステマすれすれの広告記事が多いのです。

記事の冒頭や最後に「PR」「広告」と入っていないかチェックしてみて下さい。

逆に「PR」「広告」ではない記事のなんとも少ない事か。だから今回の記事はその意味で貴重です。

 

そして、忘れてはいけない点として、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)の存在です。

MVNOへの参入は容易ではありません。回線の制御から課金まわりまでノウハウが必要です。その一切合切の面倒を見るのがMVNEです。

そして各MVNOで、MVNEがどの範囲まで面倒をみているかが重要ですが、これはあまり公開されていません。

昨年のものですが、そこに触れて書かれたブログがあります。

blogram.net

結論です。

MVNO(格安SIM)で「回線品質」とひと言で言っても簡単ではありません。レイヤ3接続ならどのブランドもほぼ同じで加入者数ぐらいでしか変化はありません。

レイヤ2接続なら回線制御の運用を自社でやるのかMVNEがやっているかの差があります。もちろん加入者数の多さでも変わります。

結局、MVNO(格安SIM)は「細切れ回線サービス」なので、速度が欲しいユーザーならある程度乗り換えを繰り返す覚悟をもって利用すべきかなと思います。

決して回線品質はMNOと同じではないと言う事実を認識した上で。

安いには安いれっきとした理由があるのです。