The Marmot Underground & Eco

日常のさまざまな事柄について綴ります。

Apple社はMVNOに個別対応などしない。使えなくても諦めましょう。

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今回の記事ではmineoの「iPhoneでは使えない問題」に代表される

「あれ?MVNO(格安SIM)って、ドコモやauではiPhoneで使えるんだから、MVNOも普通に使えるんじゃなかったの?問題」

の解説がなされています。必読です。

でもですね。ここでもハッキリ書いていない事柄があります。

それは今後iOSのバージョンがUDされる中で、iPhoneでMVNOのSIMが使える可能性は常に偶然の域を出ないーーという事です。

例えばここにケイ・オプティコム社のコメントで「引き続きAppleに対して、mineoがiOS 8/8.1で利用できるよう要望するとしている。」

...と書かれていますが、これってほぼアリバイ的で、ウソに近いといえます。「努力する姿勢は見せておこう」という。

なぜならApple社がMVNOの要望を聞くことはないからです。もちろん 要望する分には勝手です。過去にも要望が聞き入れられ、改善した例などはありません。

 

まずApple社としてiPhoneを売ってくれている第一のお得意さんは何と言っても世界各国のキャリア(MNO)です。SIMだけを販売するMVNOではありません。

(一部例外としてiPhoneにMVNO-SIMをセットして販売するMVNOもあります)

例えば日本でMVNOのSIMで使おうとするユーザーはまずiPhoneのSIMフリーモデル(unlocked)を求めますが、さりとてApple社は日本市場でのSIMフリーモデル販売に重きを置いていません。

世界で日本はSIMフリーモデルが売れない国の上位に含まれているのです。

その証拠のひとつとして、過日、中国でiPhone6Plusの在庫が枯渇した際、真っ先(地理的距離も相まって)に日本から在庫を引き揚げ、そこへ充てました。

そして日本ではしばらくSIMフリーモデルの販売をあっさり停止しました。

この場合、供給国の優先順位がハッキリしていました。

ただし日本国内ではほぼキャリア向けの(locked)端末しか売れていないので、何の問題もなかったのです(何の問題もないとのAppleの判断)

Apple社は世界各国のキャリアと契約時に様々な条件を設けています。それは取り扱い端末中のiPhone販売比率など、ななかな厳しい内容です。

(余談ですが日本で毎回条件クリアに一番苦労しているのはauです)

その代わりAppleはキャリアのネットワークとの最適化はもちろん、SIMロックやIMEI管理など、キャリアの利益を守る(端末横流しや不正利用)施策は厳格かつ迅速に手を尽くします。

一方フリーSIMだけを売るMVNOは、Apple社から見るとなんら利害の関係にありません。

つまり「知ったこっちゃない」と言うことです。

従って日本に限らず世界中のフリーSIM販売者に対しApple社は、たとえ要望が挙がったとしても対応改善のアクションは起こしません。

そして海外では、フリーSIMを使う場合は「使えない事もある」とユーザー自身が充分承知しています。

日本では特に初期MVNOのSIMがほとんどドコモ卸しであり、ドコモ端末にならそのまま使えていたことから、「ドコモで使える端末はMVNOでも使える」と安直に早合点をしてきた経緯があります。

日本通信も最近は「動作確認端末一覧」で下記の注意書きを入れるようになりました。

本リストの機種は、弊社独自に検証した結果を掲載しており、すべての動作を保証するものではありません。

動作確認端末であっても、OSのアップデートや端末の特別な設定等により、動作しなくなる場合があり得るのでご注意ください

日本通信は上層部にApple社出身者がいて、前述の事情を承知しているせいか「要望を挙げていく」などと不誠実な文言は決して書きません。

もっと言えば10万円もする高額のiPhoneに安価で低速なMVNO(格安SIM)を挿して使うような変わったユーザーは日本にしかいないと聞きます。

普通、金のないユーザーは安い端末と安いプランを選びますからね。

この辺のリスクを理解することと、最新で高額なiPhoneに格安SIMを挿す運用は「変わり者」であると自覚するべきでしょうか。