The Marmot Underground & Eco

日常のさまざまな事柄について綴ります。

実のところ「格安SIM」は「風前の灯火」!?(記事の読み方)

wirelesswire.jp

この記事では「独自サービス型SIM」として「契約数」に言及している。

「独自サービス」と断らなければ、ワイモバイル(元イー・モバイル)、WCP(AXGP)をソフトバンクがグループ内融通したり、KDDIが同じくUQ-WiMAXをグループ内融通するMVNOも含まれてしまう。

ただし今回の記事で「独自サービス型SIM」と言ってもその内実は「データ専用SIM」「音声付きSIM」が混合された数値である。

ところで今、私の手元にあるのは某大型家電量販店の「独自サービス型SIM」の販売動向データであるが、そこからは「データ専用SIM」の「継続課金率」の悪さが窺える。

これはつまり「格安SIM」を契約しても「プリペイド型SIM」のように「継続課金」をせず、使い棄ててしまっているのである。

それだから「契約数」だけを追えば実勢がわからないのだ。

さすがに「音声付きSIM」の「継続課金率」は高いのだが、そもそも「音声付きSIM」の契約数自体が極めて低く、ここの数値を構成比に置き換えると実勢は0.2%程度になるだろう。

ここまで来ると「普及している」とはいえず、もっと動向を追えるならMNO(キャリア)帰還率(格安SIMをやめ元のキャリアに戻る)も気になるところだ。

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そもそも「格安SIM」は今や斜陽化したISP( IIJ,OCN,BOGLOBEなど)や顧客課金を握るサービス(楽天,DMMなど)がプロモーションの一環として取り扱っているのが殆どで、MVNOプランを見るとよくわかるが、利益率は極めて低く、それだけで利益を得ることは難しい。

それと同時にそんな製品の特性から、インターネット上でもプロモーションが盛んになっている。

よく見かけるのは「記事型広告」で、「格安SIM」を比較検討するような内容は注意深く確認すると、その記事自体がプロモーションである事が多い。

アスキーITmediaなどの媒体自体ともタイアップしている。

ブログやSNS上でもバナー広告が夥しいことが、意識してみると確認が出来る。

しかし当然だが、これではネット常用者しかパイを抑えられない。

高齢者層を中心に、携帯は使うがネット常用者ではない層は少なくないので、そこに位置するユーザーは「格安SIM」といった言葉さえ知らず、「イオンSIM」をやっと耳にする程度だったりする。

もっと言えば「SIM」という言葉やそれを「挿し替えて使う」事さえ知らぬ現状がある。

だから今の今までネット上で「格安SIM」を褒めそやすようなユーザーは「ネット常用者」の中でも「特殊な層=ニッチ」と言える。

良い言葉で言えば「高リテラシー」なユーザー、悪く言えば「スマホオタク」だ。

具体的に言えば例えば皆さんが自分の会社で100人に「格安SIMは使っているか」と問うてみると、まず利用者がいない事を実感するだろう。

さて、MM総研のように「伸びている」と書く記事もあれば、当のNVNE(MVNOに対する支援サービスを提供する会社。フリービット、日本通信など)自身の口から「すでに淘汰に入った」とも語られている。それはまた別にまとめてみたいと思う。

 

はじめての格安SIMフリー入門 (ハッピーライフシリーズ)

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